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戦争についての四つの立場─歴史的な展開と現状を知り、考え、行動する

★今年、成人祝福式を実施した際、成人となられた方々(数年遡って判断しています)に一冊の本をプレゼントしました。この中に「この世界に、正当な暴力や戦争はあるのか」という主題で「絶対平和主義」と「正戦論」とについて学ぶことができるようになっています。★キリスト教の歴史的な展開と共に、戦争について、キリスト教から次のような四つの立場が生まれてきたことが教えられています。(1)絶対的平和主義:いかなる理由でも戦争に加担しない。(2)消極的正戦論:戦争を「正当」か「不当」かで分け、正当な場合のみ認める。(3)積極的正戦論(聖戦論):特定の戦争を宗教的に神聖とみなし、正義のために戦う。(4)無差別戦争論:戦争を含む全ての武力行使を国家の主権的権利としてとらえる。言い換えると。戦時国際法さえ守れば、全ての戦争は正当な営みとなる。★すぐにお分かりいただけると思いますが、初期キリスト教の立場は(1)です。次に、ここからは世界史の知識が必要です。キリスト教がローマ帝国の国教となるあたりから(2)へ移行し、十字軍の登場する頃は(3)となります。キリスト教(会)が弱体化し、啓蒙主義が主流となり19世紀のヨーロッパは(4)が覇権を握ります。しかし、第一次世界大戦の悲惨を体験した人たちは(4)を否定するようになります。現在は(2)の消極的正戦論が国際法的正戦論という形で復活し、国際社会が戦争や紛争を扱う際に、主たる理論的な土台の役割を果たしているとのことです。★ロシアのウクライナへの侵攻を目の当たりにし、私たちキリスト者は、以上の知識を受け取り、しっかりと考え、行動することが求められていると思います。
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