牧師のページ

囚われに気付くことは幸いです

★箴言第12章9,11,14b節にはこうあります。(09)身分の低い人でも自分で働く者は、みずから高ぶって食に乏しい者にまさる。(11)自分の田地を耕す者は食糧に飽きる、無益な事に従う者は知恵がない。(14b)‥‥人の手のわざは、その人の身に帰る。★読んですぐに気付く共通点を拾いますと、「自分で働く者」、「自分の田地を耕す者」、「人の手のわざ」であります。もちろん、ここで語られる「自分」とは、「私が、俺が」という、いわゆる、人間の持つ自己中心性の表出ではありません。一人の人格として自立した人間の自己表出であります。★この意味での「自分」は、他人と比較して自らの歩みを評価したりしません。自分とは何者であるのかということをしっかりと捕らえていますので、他者によってなされる比較の言葉に翻弄されることなく、自由に生きられるのです。それ故に、この意味での「自分」は、自分に与えられた使命や仕事をしっかりと自覚しています。事柄の大小とか見栄えのするしないにかかわらず、与えられた責任を果します。★この「自分」について語る典型的な言葉を、パウロに見出すことが出来ます。「わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている。わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる。」★何かに囚われて生きている自分に気付いたら、とらわれない生き方があることを教えてくれる人の言葉に深く沈潜する時です。

人生の土台を堅固にする秘訣

★今日は箴言の第12章から、箴言の常道である、「悪しき者」と「正しい人」の対比を聞き取ります。(03)人は悪をもって堅く立つことはできない、正しい人の根は動くことはない。(05)正しい人の考えは公正である、悪しき者の計ることは偽りである。(06)悪しき者の言葉は、人の血を流そうとうかがう、正しい人の口は人を救う。(07)悪しき者は倒されて、うせ去る、正しい人の家は堅く立つ。★「悪しき者」について整理すれば「悪しき者は、偽りを計り、その口から出る言葉は、いつ人の血を流そうかと、時をうかがう言葉なのです」。反対に「正しい人」について整理すれば「正しい人の考えは公正であり、その口から出る言葉は人を救うのです」。ここから「悪しき者は、隣人を滅ぼすことを考え、正しい人は隣人を生かすことを考える」とまとめられます。★新約聖書が教える律法の要約は、隣人との関係では「自分と同じように自分の隣人を愛せよ」でした。そうしますと、今日の箴言の内容は、律法の要約の中に含まれています。★両者の結末もはっきりしています。「悪しき者は、倒されてしまい、堅く立つ」ことはできません。しかし「正しい人の根は、動くことがなく、その家は堅く立つ」のです。ここで言う「根」とは土台・基盤と置き換えることが許されるでしょう。とすれば、自分の人生の土台を堅固に保ちたいと願う人は、「自分と同じように自分の隣人を愛する」生き方を選ぶことだ、となります。上手く行かないことを恐れず、いじけず、コツコツと進みましょう。

主の懲らしめを憎まない

★箴言12章1節にこう記されています。(1)戒めを愛する人は知識を愛する、懲らしめを憎む者は愚かである。今朝は、後半部分です。「懲らしめを憎む者は愚かである。」★ここに語られている「懲らしめ」とは、平たく言いますと、「悪を行うことに懲りるようにと与えられる、何らかの制裁」という意味です。人間社会の中で言えば、「悪を行うことは、究極割に合わないことなのだ」という学習をしてもらうために、心理的であれ、肉体的であれ、痛い体験をしてもらうということです。★このことが分かりますと「懲らしめを憎む者」という意味がはっきりします。その意味する所は、「悪を行うことは、究極割に合わないことなのだ」という学習を拒否する者とか、学習することを喜ばない者という意味から始まり、最終的には、「懲らしめ」を与える相手を逆恨みをする者という意味にまで至るように思います。いずれにいたしましても「悪を行うことは、究極割に合わないことなのだ」という真理を学習しないことが「愚か」なのです。★箴言3章11,12節にこう語られていました。(11)わが子よ、主の懲らしめを軽んじてはならない、その戒めをきらってはならない。(12)主は、愛する者を、戒められるからである、あたかも父がその愛する子を戒めるように。今日の文脈に立つなら、この箴言の目指している所も同じと考えられます。私たちを愛してくださる創造主なる神様は、その愛の眼差しをもって私たちを見ていて下さり、もし私たちが悪の道に向かっているなら、主は、私たちに対して「懲らしめ」を与えてくださるということです。これは感謝なことなのです。
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