牧師のページ

「神の恵みの福音」をあかしする教会を目指して

★今回、池田清美姉と野口恭子姉と共に転入会の学びをいたしました。この学びをするたびに、私は、信仰の原点に立ち返らされます。★今回もパウロの次の言葉が心に響きました。「わたしは自分の行程を走り終え、主イエスから賜わった、神のめぐみの福音をあかしする任務を果し得さえしたら、このいのちは自分にとって、少しも惜しいとは思わない。」学びでは、この言葉を傍らにおいて「あなたは、このパウロと同じだけの信仰的な覚悟がありますか?」と問うわけではありません。そうではなくて、学びでは、パウロが命がけで果した任務が「神のめぐみの福音」をあかしすることであったことを確認します。★ですから、私自身、学びの度に、私が受け取ったのは「神のめぐみの福音」であることを確認します。そして、私が語り伝えるのもまた「神のめぐみの福音」であることを確認します。★このことは、パウロのような伝道者に限られたことではなく、キリスト者一人一人にとっても真理であり、信仰共同体である教会にとっても真理であると信じます。★ですから、キリスト者であるわたしたち一人一人が、「私は『神のめぐみの福音』を信じ、『神のめぐみの福音』を生きているのだろうか?」というこの問いを、自問自答しつつ歩んでいるなら、「神のめぐみの福音」をあかしする教会として、必ず立て上げられると信じます。

「赦す」ことと「裁く」こと

★聖書的な原理で言えば、「赦す」ことは「和解」を生み、「分離」していた人格が「和合」する方向へ進みやすくなります。それに対して「裁く」ことは「対立」を生み、「和合」していると思われた人格が「分離」する方向へ進みやすくなります。★「赦す」言葉が「和解」へと向かわせる典型が、主イェスの言葉とステパノの言葉であると思います。十字架上での主イェスの言葉は次のように記録されています。[34]そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。殉教したステパノの言葉は次のように記録されています。[60]そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。★どちらの言葉も、主なる神様と罪人との和解を目指させる言葉ではないかと信じます。★「赦す」ことに対しては、「あまい!」との声が上がり、その声は理解できます。にもかかわらず、福音はパウロの言葉を提示してきます。[04]他人の僕をさばくあなたは、いったい、何者であるか。彼が立つのも倒れるのも、その主人によるのである。しかし、彼は立つようになる。主は彼を立たせることができるからである。★どのような事態に直面しても、最終的には「裁く」ことではなく「赦す」ことを優先するということです。これは、極めて信仰的な判断であり、一般的な判断ではありません。

神の口から出る一つ一つの言

★心理学の本を読みますと、「人が生きるために必要なのは愛されることだ」という言葉に出会います。これは間違いなく真理でありまして、心理学の一つの実験から「愛されることがないと赤ちゃんの成長が著しく疎外される」ことが分かっています。★次に、主イェスが悪魔の試みを受けられた時のことを取り上ます。(03)すると試みる者がきて言った、「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じてごらんなさい」。(04)イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである』と書いてある」。★主イェスは、主なる神様の言葉によって、悪魔に答えなければなりませんでしたから、申命記から主なる神様の言葉を用いました。この言葉から、人は「神の口から出る一つ一つの言で生きる」となります。★今度は、主イェスと律法学者との問答です。(37)イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。(38)これがいちばん大切な、第一のいましめである。(39)第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。(40)これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」。★乱暴かもしれませんが、「律法全体と預言者」とが「神の口から出る一つ一つの言」であると言えます。そうしますと、成人している大人の視点から言えば、「神の口から出る一つ一つの言」は、「神と自分と隣人とを愛することだ」と語っていることになります。★以上を一つにすれば、人が生きる時に必要なのは「神と自分と隣人」とから「愛される」ことであり、同時に、「神と自分と隣人」とを「愛する」ことである、となりそうです。人は「神の言」で生きると聞くと、抽象的ですが、具体的に考えますと、やはり「愛:αγαπη」が語られていることがわかるのです。
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