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主の祈り⑤


◆今日は主の祈りを構成する最後の祈りを扱います。「わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。」この祈りについては、解説をするというよりも、一つの提言をさせていただきます。◆大前提を言います。私たちキリスト者は信仰的(霊的)に成長すべき存在です。しかもこの成長は、月日が経ってみたら自然に成長していましたという類いの成長ではありません。むしろ課題を与えられ、その課題に取り組み、その課題を解決することによって得られるところの成長であります。そうしますと、私たちキリスト者が信仰的に成長するために必要な課題は、信仰者の側から言えば、主なる神様から与えられる試み(試練)として理解されます。◆ところが、キリスト者であれば直ぐに気付かれることと思いますが、この試みを利用して誘惑とし、キリスト者を無力感に閉じこめようとするのが悪魔の働きです。つまり、主なる神様から与えられる成長のための試みは常に誘惑の入り口ともなるということです。この視点に立ちますと、「わたしたちを誘惑に会わせないで、悪しき者からお救いください。」という翻訳の方が、キリスト者の祈りにより近いように思います。そこで、提案です。主イエスが教えてくださったこの最後の祈りは、その意味することを言えば、「わたしたちを誘惑に会わせないで、悪しき者からお救いください。」と理解してよいのではないかと思います。◆しかし、翻訳者は「試み」と翻訳しました。ですから、「わたしたちを試みに会わせないで」という祈りを祈ることについては、次回述べさせていただきます。

主の祈り④


★「わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください。」「日ごとの食物」に続いて、「わたしたちの負債」の問題です。ここで主イエスが語られている負債とは罪を意味します。ですから、この祈りは「わたしたちに罪のある者をゆるしましたように、わたしたちの罪をもおゆるしください。」となります。★客観的な事をまず述べるなら、この祈りの言葉には、明確な順序があります。キリスト者であれば、罪の問題は自覚されています。ですから、キリスト者の側が先に相手の罪をゆるすことが来る、ということです。よく言われることですが、「相手の罪をゆるす」という、この言葉に基づき、キリスト者の中に鼻持ちならない高慢さや居丈高な態度を感じる人達がいます。相手に対してそのような誤解を与えてしまう何かが私たちの中に存在するという現実を抱えつつも、主イエスは。私たちキリスト者に対して、「あなたが先だよ」と御声をおかけになります。★この言葉が伝えている明確なメッセージがもう一つあります。それは、相手の罪を赦さずに生き続けるキリスト者は、自分の罪が赦されているという確信と安心感を持ちにくいということです。とても不思議なことですけれども、知らず知らずのうちに不安感が首をもたげてくるのです。★この不安感は、「お互い、無条件でイエス様に罪をゆるしていただいて、本当によかったね。」という世界に生きる事ができるにも関わらず、その世界から遠ざかっていることが生み出すサインです。

主の祈り③


★「わたしたちの日ごとの食物を、きょうもお与えください。」主イエスが祈るように教えてくださった祈りに「日ごとの食物」が出てきました。主の祈りの構造で言えば、まず主なる神様の御名が崇められることが先で、次に、私たちにとって必要かつ重要な「日ごとの食物」の登場です。★この順序について言えば、後々主イエスが語られた次の言葉も同じです。「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。」★この順序はまた、悪魔に誘惑された時の主イエスの答えとも一致しています。「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである」。★更にここで、シドンのサレプタのやもめに対して預言者エリヤの語った言葉を思い起こすことができます。エリヤは彼女にこう言ったのです。「恐れるにはおよばない。行って、あなたが言ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小さいパンを、一つ作って持ってきなさい。その後、あなたと、あなたの子供のために作りなさい。」最後のパンを見ず知らずの人物に提供することが求められたのです。しかし、この言葉には続きがあります。「主が雨を地のおもてに降らす日まで、かめの粉は尽きず、びんの油は絶えない」とイスラエルの神、主が言われるからです。★これらの言葉から聞き取れる主なる神様からのメッセージはこうなります。誤解を恐れず大胆な表現で言わせてもらうならば、「後のことはすべて私が責任を持つから、私の言葉に信頼しなさい。」これはまさに、キリスト者の応答の歩みを支える、主なる神様からのメッセージです。
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