賀川督明氏の講演から
16/06/13 00:00
★今年のJEAの総会では、賀川豊彦師の孫にあたる賀川督明氏(賀川記念館館長)の講演をお聞きすることができました。と言いましても、時間の関係で講演の後半は駆け足となり、消化不良のまま帰宅した感があります。★賀川豊彦師は日本の生協運動の父と言われていますが、キリスト者であり牧師でもありました。ですから、今回の講演を通して、福音派のキリスト教界の中で、賀川豊彦師に対して、適切な歴史的評価が与えられていないことを大変残念に思いました。★賀川督明氏自身、祖父の思想の中に「誤り」が有ることを隠すことなく語っておられました。この態度は、ある人物に対する歴史的評価を適切に行う上で大切なことでありましょう。福音派のキリスト教界が、その姿勢を保持しつつ、賀川豊彦師の働きを再評価する時が来ていると判断したが故に、今回、賀川督明氏を講演者として招待したのであれば、とても生意気な表現を使いますが、福音派の持つ慧眼でありましょう。★前置きが長くなりましたが、賀川豊彦師達が取り組んでいたスラム問題は、その問題解決のために、当初の「救貧」から「救貧と防貧」、即ち「救貧」を続けながらも「防貧」が必要と判断されるに至りました。そして賀川豊彦師達が考えた「防貧」のための手段の1つに「教育中心」という理念があったのです。「防貧」のめには「教育が必要」ということです。★「救貧」は「支援者」の側に力点があるのに対して「防貧」は「支援される側」に力点があります。一般には「自立」を支援すると表現されるでしょうが、私の立つ神学的な視点から言えば、被造物である私たち一人一人の持つ「神のかたち」の発芽・成長・結実を促すということです。★キリスト者は、自分も隣人も共に「神のかたちを持つ存在である」という視点を土台にして物事を考え、実践するのです。