「小さい不都合な現実」と向き合う
03/02/13 00:00
★まずは、一般的な表現で書かせてもらいます。「私達にとって、自分が否定している現実に自分自身が向き合わなければならなくなった時、その現実を受け入れるのは、とても大変なことです。」★大きく当てはめれば、「死」という現実があります。日本人に限ったことではないのでしょうが、「死」に向き合うことを拒むかのように、健康指向を刺激する宣伝が日々行われています。しかし、自分の健康が完全に蝕まれ、回復への見込みが無くなった時、「死」という現実が否応なく登場してきます。死は当然の帰結であるということを理解しているとは言え、この現実と向き合うことは、本人にとって大変な苦痛となります。★このことは心理学的に「無意識の持つ力」として説明できます。無意識は自分が否定している現実を知っています。ですから、その現実を回避するように自分自身に働きかけます。ところが、人生とはある意味無情でありまして、自分自身が否定している現実を受け入れなければならない事態が起きて来ます。もちろん無意識は即座にその現実を理解します。そして、その現実を受け入れさせないように動くのです。この心の動きが「苦痛」の正体です。★このことから、心理学的には、自分にとって「小さい不都合な現実」を数多く体験することの重要さが認められています。つまり、物事が思い通りには進まないという小さな現実を多く通されることで、心理的な耐性が培われるというのです。思い通りにゆかない現実を乗り越える知恵は、小さな苦痛を乗り越えようとする時に培われるということです。★小さな課題との取り組みが、いつしか、大きな課題と取り組む力を養ってくれるのです。